活性反応の測定原理詳細

測定原理

半導体内を流れるドレイン電流量は半導体内部の電子密度に左右されます。酵素反応等により生じる化学イオンの変化が電界の変化となって半導体内に伝わり、半導体内の電子分布に偏りが生じます。その結果ドレイン電流の流路にあたる部分の電子密度が変化して流れる電流量が変化します。この変化量がセンサー出力となります。

累積測定のしくみ

従来のISFETではセンサー出力が小さいため、S/Nが小さく、精密な測定はできませんでしたが、当社のAMISセンサーでは短時間のうちに測定を繰り返し、得られた信号をセンサー内に累積し、センサー内で信号の増幅を行うことによってS/N比を改善し、微小変化の精密測定を可能にしました。

測定例

各種酵素反応測定例

下記の一覧に示す通り、幅広い範囲での応用が可能であることがわかります。

基質酵素補酵素基質検出感度
(μM)
酵素検出感度
(20μl中の絶対量)
検出対象
グルコースGlucose Oxidase10μg/ml
(55μM)
0.5μg/ml
(1ng)
過酸化水素+グルコン酸
グルコースGlucose DehydrogenaseNAD20μg/ml
(111μM)
プロトン
グリセロールGlycerol Kinase + Glycerophospate OxidaseATP1.5μg/ml
(16μM)
過酸化水素
エタノールAlcohol DehydrogenaseNAD10µg/ml
(217µM)
プロトン
ホルムアルデヒドFormaldehyde DehydrogenaseNAD0.3µg/ml
(10µM)
プロトン+蟻酸
アセトアルデヒドAldehydel DehydrogenaseNAD5ng/ml
(0.1µM)
プロトン+酢酸
ATPAlkaline Phosphatase5µg/ml
(10µM)
0.1unit/ml
(0.002unit)
リン酸
尿素Urease2µg/ml
(33µM)
アンモニア
クレアチニンCreatinine Deiminase1µg/ml
(8.8µM)
1μg/ml
(2ng)
アンモニア
オリーブ油Lipoprotein Lipase100µg/mlオレイン酸
リノール酸コレステロールCholesterol Esterase200µg/ml
(300µM)
リノール酸
DL-BAPNATripsin60µg/mlアルギニンカルボン酸

様々な種類の酵素反応を高感度で検出することが可能

リパーゼの活性測定

Lipoprotein LipaseによるOlive oilの加水分解の結果生じるオレイン酸を検出

飲料中のフラボノイドの測定

クレアチニンの測定

Creatinine Deiminase によるCreatinine 加水分解反応の検出例

従来3種類の酵素が必要  単一酵素で簡便に測定可能

残留農薬の検出

AMISデータ集[PDF]

 

生理活性反応測定装置 AMIS-101 の特徴をまとめました。
京都市産業技術研究所、独立行政法人産業総合技術研究所(産総研)、京都大学農学研究科における測定例についても記載いたしました。

AMIS-101の特徴[PDF]

関連文献

  • 信号累積型イオン感応性電界効果トランジスタによるクレアチニンの新規測定法生物試料分析科学会誌「生物試料分析」第32巻・第3号(2009) 別冊
  • 信号累積型イオン感応性電界効果トランジスタ及びコレステロールエステラーゼを利用し
    たコレステロールエステル簡易測定法生物試料分析科学会誌「生物試料分析」第34巻・第3号(2011)
  • 生感度信号累積型ISFETバイオセンサーの開発シーエムシー出版「食のバイオ計測の最前線」(2011)
  • Simple and convenient measurement of enzyme reaction by high sensitive
    signal accumulation ISFET biosensor (AMIS Sensor) and micro bioactivity
    analyzerBiocatalysis and Agricultural Biotechnology (2012)
  • 信号累積型イオン感応性電界効果トランジスタによる生理活性反応測定装置の開発生物試料分析科学会誌「生物試料分析」第38巻・第3号(2015)